RAIDは、レベル0、1、4、5、リニアなど、さまざまな設定をサポートします。これらのRAIDタイプの定義は以下のとおりです:
レベル0—「ストライピング」とも呼ばれますが、性能を重視した分割データマッピング技術です。つまり、アレイに書き込まれるデータは複数のストライプに分割され、アレイの各メンバーディスクに書き込まれます。このようにして低コストで高い入出力性能が得られますが、冗長性はありません。レベル0アレイの記憶容量は、ハードウェアRAIDのメンバーディスクの総容量またはソフトウェアRAIDのメンバーパーティションの総容量に等しくなります。
レベル1—RAIDレベル1、または「ミラーリング」は、RAIDの形式として最も古くから使用されているものです。レベル1では、冗長性を実現するためにアレイの各メンバーディスクに同じデータを書き込み、各ディスクに「鏡に映したような」コピーを残します。ミラーリングは、その単純さと高いデータ安全性により人気を保っています。レベル1は2台以上のディスクに対して機能するため、読み込み時には並列アクセスを行うことでデータ転送レートの向上を図りますが、入出力トランザクションレートを向上させるために独立して動作するのが一般的です。レベル1ではデータ信頼性が非常に高く、読み込み中心のアプリケーションでの処理速度は向上しますが、コストは比較的高くなります。 [1] レベル1のアレイの記憶容量は、ハードウェアRAIDのミラーリングされたハードディスクの1台またはソフトウェアRAIDのミラーリングされたパーティション1つの容量に等しくなります。
レベル4—RAID 4では、1台のディスクに集められたパリティ [2] を使用してデータを保護します。この方法は、大きいファイルの転送よりも入出力のトランザクションに適しています。パリティ専用のディスクには本質的にボトルネックが存在するため、ライトバックキャッシュなどの技術を併用せずに使用されることはほとんどありません。一部のRAIDパーティション方式ではRAIDレベル4もオプションの1つですが、Red Hat LinuxのRAIDインストールではオプション選択できません。[3] ハードウェアRAIDレベル4の記憶容量は、メンバーディスクの総容量からメンバーディスク1台の容量を差し引いたものと等しくなります。ソフトウェアRAIDレベル4の記憶容量は、メンバーパーティションの総容量からパーティション1つのサイズを差し引いたものと等しくなります(パーティションのサイズが同一である場合)。
レベル5 —最も一般的なRAIDのタイプです。アレイに属するメンバードライブディスクの一部または全部にパリティ情報を分散することによって、レベル4固有の書き込み時ボトルネックの問題が解消されています。唯一の性能上のボトルネックは、パリティ計算プロセスです。最近のCPUとソフトウェアRAIDを使用した場合、通常それほど大きな問題にはなりません。レベル4と同様、結果として性能に偏りがあり、読み込み速度が書き込み速度を大幅に上回ります。この偏りを緩和するため、レベル5では多くの場合ライトバックキャッシュが併用されます。ハードウェアRAIDレベル5の記憶容量は、メンバーディスクの総容量からメンバーディスク1台の容量を差し引いたものと等しくなります。ソフトウェアRAIDレベル5の記憶容量は、メンバーパーティションの総容量からパーティション1つのサイズを差し引いたものと等しくなります(パーティションのサイズが同一である場合)。
リニアRAID—リニアRAIDは、ドライブを単純にグループ化して1台の大容量仮想ドライブを作成するものです。リニアRAIDでは、塊は1台のメンバードライブから順に割り当てられ、最初のドライブが完全に一杯になると割り当て対象は次のドライブへ移ります。このようなグループ化では、入出力操作がメンバードライブ間で分割されることはないため、性能上のメリットはありません。リニアRAIDでは冗長化が行われないため、実際には信頼性は低くなります。—メンバードライブのいずれかがクラッシュすると、アレイ全体が使用不可能になります。記憶容量は、全メンバーディスクの合計です。
[1] | RAID 1のコストが高くなるのは、アレイに属するすべてのディスクに同じ情報を書き込むため、ドライブの領域を消費するからです。たとえば、ルート(/)パーティションが2台の40Gバイトドライブに存在するようにRAIDレベル1をセットアップした場合、物理的な領域の合計は80Gバイトですが、この80Gバイトのうち、アクセスできるのは40Gバイト分だけです。ほかの40Gバイトは最初の40Gバイトのミラーとなります。 |
[2] | パリティ情報は、アレイに属するほかのメンバーディスクの内容に基づいて計算されます。この情報を使用することによって、アレイに属するディスクがクラッシュしたときも、全体のデータを再構築することができます。クラッシュしたディスクが交換されるまでの間、このディスクへの入出力要求に対応するには、再構築されたデータを使用します。再構築されたデータを使用して、交換されたディスクにデータを戻すこともできます。 |
[3] | RAIDレベル4で消費される領域の大きさはRAIDレベル5の場合と同じですが、レベル5にはレベル4をしのぐ利点が多数あります。このような理由により、レベル4はサポートされていません。 |