7.8. キックスタートファイルを使用可能にする

キックスタートファイルは、次のいずれかの場所に保存して おかなければなりません。

通常、キックスタートファイルは、ブートディスク上にコピーするか、 ネットワーク上で利用できるように設定します。 キックスタートインストールの多くはネットワーク上で実行される 傾向にありますので、ネットワークベースの保存とアクセスが 一般的になっています。

キックスタートファイルを保存する場所について、さらに 詳しく調べてみましょう。

7.8.1. キックスタートブートディスク(フロッピー)の作成

フロッピーディスクベースのキックスタートインストールを 実行するには、キックスタートファイルがks.cfg と名付けられる必要があり、そしてブートディスク (フロッピー)の最上位ディレクトリに位置していなければなりません。 ブートディスクの作成についての解説は、Red Hat Linux インストールガイド インストールブートディスクの作成 を参照してください。 Red Hat Linuxブートディスクは MS-DOS形式ですからLinux上でもmcopy コマンドを使用してキックスタートファイルを簡単にコピーできます。

mcopy ks.cfg a:

別の方法として、Windowsを使用してファイルをコピーすること もできます。また、ファイルシステムタイプがvfatでRed Hat Linux内に MS-DOSブートディスクをマウントして、cp コマンドを使用しファイルをフロッピーにコピーできます。

7.8.2. キックスタートブートCD-ROMの作成

CD-ROMベースのキックスタートインストールを実行 するには、キックスタートファイルがks.cfg と名付けられ、ブートCD-ROMの最上位ディレクトリ 位置に位置していなければなりません。CD-ROMは読み取り専用 のため、CD-ROMに書き込まれるイメージを作成するのに使用する ディレクトリに、ファイルが加えられなければなりません。 ブートCD-ROMの作成に関する解説はRed Hat Linux インストールガイド インストールブートCD-ROMの作成 を参照してください。 ただし、file.isoイメージファイル を作成する前に、ks.cfgキック スタートファイルをisolinux/ ディレクトリにコピーしてください。

7.8.3. ネットワークでキックスタートファイルを使用可能にする

キックスタートを使ったネットワークインストールは ネットワーク上の多数のコンピュータに短時間で簡単にインストール でき、しかも自動化できるため、非常に多く利用されています。 ローカルネットワーク上のBOOTP/DHCPサーバーとNFSサーバーを 利用する方法が一般的です。クライアントシステムに対して、 BOOTP/DHCPサーバーを使ってネットワーク情報を与え、実際に インストールで使うファイルはNFSサーバーを使ってアクセス させます。この2つのサーバーは1台のコンピュータ上で動作させる ことが多いのですが、そうしなければならないわけではありません。

ネットワークベースでキックスタートインストールを実行 するには、そのネットワーク上にBOOTP/DHCPサーバーがあり、 Red Hat Linuxをインストールしようとしているコンピュータ用の設定情報 がなければなりません。BOOTP/DHCPサーバーは、クライアントに 対して、ネットワーク情報とキックスタートファイルの場所を 通知するために使われます。

クライアントシステムは、BOOTP/DHCPサーバーからキック スタートファイルの保存場所を受け取ると、そのファイルのパスを NFSでマウントし、ファイルをクライアントにコピーしてキック スタートファイルとして使います。具体的な設定方法は、 使用しているBOOTP/DHCPによって異なります。

以下に示すのは、Red Hat Linuxと共に出荷されるDHCPサーバー用の dhcpd.confファイルから関連部分を抜粋した ものです。

filename "/usr/new-machine/kickstart/";
next-server blarg.redhat.com;

実際にNFSサーバーの名前を設定するときは、 filenameの次の部分をキックスタートファイルの 名前(あるいはキックスタートファイルを含むディレクトリ)に 置き換え、next-serverの次の 部分をNFSサーバー名に置き換える必要があることに注意して ください。

BOOTP/DHCPサーバーから返されるファイル名がスラッシュ(/) で終わる場合は、パスのみと解釈されます。この場合、クライアント システムはNFSでそのパスをマウントし、特定の名前を持つファイル を探します。ここでクライアントが探すファイル名は、 次のとおりです。

<ip-addr>-kickstart

ファイル名の<ip-addr> の部分は、10進ドット記法のIPアドレス に置き換えてください。たとえば、IPアドレスが10.10.0.1である コンピュータのファイル名は、10.10.0.1-kickstart です。

サーバー名が指定されていない場合、クライアントシステムは BOOTP/DHCP要求に応答したサーバーをNFSサーバーとして使います。 パスまたはファイル名が指定されていない場合は、クライアント システムはBOOTP/DHCP上の/kickstartを マウントし、上と同じく<ip-addr> -kickstartというファイル名で キックスタートファイルを検索します。