本来、ネットワーク管理は複雑な作業ですが、標準なしで行うと複雑さは一層増します。複数の管理ツールを購入した組織を考えてみましょう。個々のツールの管理方法が対象となるハードウェア製品またはソフトウェア製品に応じて異なっている場合、この組織ではこれらの異なるツールを対象に、ネットワーク管理者のトレーニングおよび管理を行わなければなりません。このプロセスは、コストがかかるだけでなく非効率的でもあります。この問題に対処するため、標準化委員会が、ネットワーク管理用のプロトコルを開発しました。
HP Systems Insight Managerは、多くのさまざまな管理プロトコル標準を利用するように設計されています。このため、HP Systems Insight Managerを使用すると、広い範囲の管理可能デバイスの管理をサポートできます。
SNMP国際的なインターネットワークの標準化組織であるIETF(Internet Engineering Task Force)によって、管理プロトコル、SNMPが定義されました。SNMPは、市場において支配的なシェアを得るまでに成長し、今日では20,000を超えるさまざまな製品をサポートしています。SNMPのルーツは、インターネット コミュニティです。大規模で国際的なTCP/IPネットワークの複雑さが、ネットワーク上のデバイスを管理する、標準的な方法の開発の誘因となりました。 SNMPフレームワーク内で、管理可能なネットワーク デバイス(ルータ、ブリッジ、サーバなど)には、マネジメント エージェントと呼ばれるソフトウェア コンポーネントが含まれます。このエージェントは、ネットワーク要素のさまざまなサブシステムを監視し、この情報を管理情報ベース(MIB)に格納します。このエージェントにより、デバイスはトラップを生成でき、HP Systems Insight Managerを実行している、トラップ宛先サーバに送信するように設定できます。概念的に、MIBはデータベースであり、SNMPプロトコルを使用して管理アプリケーションによって読み書きできます。MIBには、次の2種類があります。 インターネット管理MIB。. これらのMIBは、インターネット コミュニティによって標準化されています。MIBには、MIB-IIやRMONなどがあり、インターネット プロトコルを実装している広範囲のネットワーク機器全体で共通する中核オブジェクトを表します。これらのオブジェクトの例としては、TCP/IPやEthernetネットワーク インタフェースなどのネットワーク システムがあります。 ベンダMIB。. これらのMIBは、個々のベンダ製品または製品ラインに固有のオブジェクトを表します。500を超えるベンダと組織で、独自のベンダMIBが作成されています。HPは、システム ハードウェアのSNMP管理を可能にするMIBを開発した最初のパーソナル コンピュータ会社です。
SNMPは、属性に対する読み取りおよび書き込み(GETとSET)の両方のコマンドをサポートしています。ベンダによっては、権限を持たない人間がネットワーク要素の重要なパラメータを変更する可能性を考えて、SETコマンドをサポートしていません。HP Systems Insight Managerでは、SNMP GETコマンドのみを主に使用します。 SNMPは、インターネットと長く関連しているため、TCP/IPと関連し、Ethernetネットワーク上でデバイスを監視するために使用されます。ただし、IPXなどのその他のプロトコル上でSNMPを使用できます。たとえば、HP Systems Insight Managerアプリケーションは、IPXおよびIP上のSNMPをサポートしています。 SNMP自体は、その初期から、SNMP V2cとSNMP V3というように更新されてきました。HP Systems Insight Managerでは、元のV1に準拠したエージェント、およびv1 MIBとv2 MIBのコンパイルがサポートされます。SNMPでは、UDPポート161を使用してシステムを監視し、ポート162でトラップを受信します。 システム間では、SNMP通信により、システムに関する情報が収集されます。HP Systems Insight Managerは、指定されたSNMP再試行回数に基づいてSNMP通信を試し、正常にやり取りできるようになったとき、または再試行回数を超えたときに停止します。HP Systems Insight Managerは、タイムアウト期間に基づいて、再試行する間にSNMP応答を待機します。最後に、システムで指定されているコミュニティ名、および、HP Systems Insight Managerのシステムで指定されているコミュニティ名が一致する場合に限って、HP Systems Insight ManagerはSNMPを介して通信できます。「public」は一般的に使用されるデフォルトのコミュニティ名です。ただし、セキュリティ要件で必要となるコミュニティ名を指定することができます。
DMI1992年に設立された、主要なPC産業ベンダと企業からなるDesktop Management Task Force(DMTF)は、デスクトップ ハードウェアおよびソフトウェア コンポーネントを管理する方法を指定する、プラットフォームに依存しない共通のプロセスを確立しました。HPは、DMTFの実行委員会のメンバであり、デスクトップ管理インタフェース(DMI)ソフトウェアと管理情報フォーマット(MIF)言語という、DMTFの2つのテクノロジを定義するために協力しました。DMIソフトウェアは、デスクトップ常駐管理プログラム、管理可能ハードウェア、およびコンピュータ上のソフトウェア コンポーネントの間をつなぐものとして機能します。DMIは、デスクトップからの情報入手に、最も一般的に使用されていますが、一部のHP製サーバとワークステーションでは、DMIがサポートされています。
HTTPHP Systems Insight Managerは、管理情報の伝達に業界標準のHTTPプロトコル(Webに情報を転送するために使用されるプロトコル)も利用しています。多くのシステムでは、ある種の設定「ホーム ページ」がサポートされており、HTTPプロトコルや安全なHTTPSプロトコルでサポートされています。HP Systems Insight Managerは、[グローバル プロトコル設定]ページで有効になっている場合、システムで実行されているHTTPSサーバの検出を試みます。詳細については、プロトコル - グローバル プロトコル設定を参照してください。
WBEM
Webベース エンタープライズ管理(WBEM)は、最新管理プロトコルのうちの1つです。このプロトコルでは、DMTFによって定義された、業界標準の共通情報モデル(CIM)が利用されます。HP Systems Insight Managerは、WBEMプロトコルを直接使用してシステムとやり取りしたり、WMI Mapperプロキシを使用してWindows WMIシステムとやり取りしたりすることができます。HP Systems Insight Managerは、WBEMを使用して、ストレージ システムSMI-S WBEMプロバイダと通信します。HPは、WBEM事業に対して努力を続けてきました。WBEMは、HP、Microsoft、Intel、BMC、Cisco、およびこれ以外の120のプラットフォーム、オペレーティング システム、アプリケーション ソフトウェアの供給元によってサポートされている事業です。 WBEMを有効にすると、管理コンソールでは、WBEMがサポートされている、すべてのシステムから情報を取得できます。WBEMを動作させるには、特定システムの正しいユーザ名とパスワードを指定する必要があります。WBEMによって、より多くのサーバとストレージの管理可能データ セットを収集して、[システム ページ]やレポートに表示することができます。WBEMが存在すると、[プロパティ]ページを使用できるようになり、WBEMイベントがイベント収集に表示されるようになります。HTTPを有効にしないと、HP Systems Insight ManagerはシステムのWebベース機能を検出できません。
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